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断熱材について 

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断熱材について

断熱材の役割

外気温の影響を和らげ、屋内の温度を一定に保つ部材です。断熱材自身に建物を暖めたり、冷やす機能はありませんが、冷暖房器具の少ないエネルギー消費で、家を快適・健康に維持する機能を担っています。

断熱材の種類と特徴

 

断熱材は、”繊維系”と”発泡プラスチック系”の大きく2つに分けられます。  
”繊維系”は、細かい繊維の間に空気を閉じ込めて断熱します。

”発泡プラスチック系”は、独立した気泡の中に空気を閉じ込めて断熱します。

​どちらのタイプも、細かな空気が断熱材の役割を担っています。

  

■ 繊維系 

グラスウール


ガラス繊維でできた綿状の断熱材で、断熱材としては最も一般的なものです。価格が安く、厚さやサイズ、密度(密度が高いほど断熱性能が高くなる)も豊富で、防音効果に優れています。しかし、施工がやや難しく、柱や壁との間に隙間ができてしまうと、内部で結露が起きる原因にもなってしまうなど、施工精度が断熱性能に大きく影響します。

セルロースファイバー

 

木質系の繊維を使用した断熱材。主に新聞紙が原料として用いられ、ホウ酸などを混入して防熱、撥水性能を付加しています。新聞紙といえども、火を付けても表面が炭化するだけで、延焼を防ぎます。天然の繊維を断熱材として利用しているため、エコで、吸放湿性能があり、湿度を適度に保つ効果も期待できます。コストは高く、施工は専用の機械を使って吹き込むため、メ-カ-や専門の職人などが行うケ-スが多いです。

ロックウール

 

鉱石などを高温で溶かし、繊維状に加工した断熱材で、グラスウールについで安価です。歴史も古く、ヨ-ロッパでは19世紀から用いられてきました。耐熱性はグラスウールより優れており、火災にはより強い断熱材といえます。また、吸音性も大変優れており、特に低音をよく吸収するので、天井など、音を伝えにくくする必要のある部位に使われることも多いです。
吹付け用(湿式施工)と成形品(乾式施工)があり、価格はグラスウールよりやや高価。

■ 発泡プラスチック系

硬質ウレタンフォーム

 

ボード状になっているものと現場で吹き付けるものがあります。
硬質ウレタンフォームは独立した微細な気泡の中に熱伝導率が極めて小さいガスを閉じ込めている為,優れた断熱性能を有しています。この為、硬質ウレタンフォームは他のプラスチック系や繊維系断熱材に比べて、経済的な厚みで優れた断熱性が得られます。
また硬質ウレタンフォームは施工現場での発泡が容易で、多くの材料と自己接着しますので複雑な構造物に対しても隙間の無い連続した断熱層を作ることができます。

押出法ポリスチレン
(スタイロフォーム)

 

XPSとも呼ばれる、ポリスチレンに発泡剤や難燃剤を添加し、その名の通り押し出して板状に加工した、耐圧性に優れた断熱材です。外張り断熱工法や、基礎断熱に多く用いられ、ボード状なので施工もしやすく、精度の高い断熱施工ができるのが特徴です。また、製造過程でホルムアルデヒ ドやフロンガスを使用しないので、人や環境にやさしい断熱材のひとつです。

ビ-ズ法ポリスチレン(フクフォーム)

 

いわゆる発泡スチロールで、ESPとも呼ばれます。ポリスチレンに発泡剤や難燃剤を添加してビーズ状にしたものを蒸気で発泡させ、それを金型に充填、加熱して30~80倍に発泡させてつくります。形はボードや筒状など多様で、価格はやや高めですが、経年変化がなく、長期間に渡って性能が維持されるので、長期的にはお得だといえます。また、吸水・吸湿によって水分が蓄積されることもなく、水に強い断熱材です。

古紙混入発泡ポリプロピレン(フクフォームECO) 

 

微粉砕した未使用の産業古紙、ポリプロピレン再生プラ、コ-ンスタ-チを原料に、水発泡技術で製造したエコ素材です。他の発泡系断熱材は発泡剤(断熱ガス)と空気との置換で断熱性能が低下するのに対して、発泡剤が発散することがないので長期にわたって断熱性能を維持します。次世代省エネ基準にも対応する環境配慮型の断熱材です。

断熱の工法

 

断熱の方法には、構造部材間の空間にグラスウールなどの断熱材を詰めて断熱し、小屋裏から家全体を包む内断熱工法と構造体の外側にパネルタイプなどの断熱材を入れ、構造体の外側全体を覆ってしまう外断熱工法とがあります。

■内断熱工法

 

メリット

・一般的な施工法としてほとんどの工事業者が用いており、

 繊維系の材料を使用すれば施工コストが安い。
・エアコンなどの空調を使用する場合、一定の広さであれば

 適温にするまでの立上がりが早い。
・地下工作物などのように内断熱工法しか用いられない

 ケースもある。

 

デメリット

 

・構造体が断熱層のすぐ外側にあるため、日射や放射冷却による

 温度変化を受けやすく、かえって熱損失を増幅するため、

 室内温度を適正にするために必要以上のエネルギーを要する。
・外部側の構造体に絡む床や間仕切壁に関して、断熱材の

 施工範囲次第では断熱性能が大きく左右され、

 ヒートブリッジ現象の可能性がある。
 

■外断熱工法

 

メリット

 

・外装材のすぐ内側に有効な断熱層をつくることで、

 日射や放射冷却の影響を受けにくく熱損失が少ない。
・内断熱工法の場合とは逆に、床や壁、屋根を室内環境を

 保つための蓄熱体として利用することができ、室内温度を

 適正に保つためのエネルギーが少ないため経済的である。
・建物の構造体が室内環境を保つための蓄熱体となるため、

 部屋に極端な温度差が生じにくく、冬期の結露の心配が少ない

 

デメリット

 

・長期間使用していない建築物をエアコンなどの空調によって

 適温にしようとする場合、内部空間以外の構造体にも

 熱が伝わるため、立上がりまでの時間を要する。
・発泡系材料は白蟻に注意しなければならない。
・建物の形状によっては施工の手間がかかり、工夫が必要になる。
 

断熱方法の良し悪しは一概にはいえません。北海道などの寒冷地では外断熱は有効に働いても、本州では過剰装備になる恐れがあります。
建築の予算はもちろん、地域や場所に合わせて総合的に判断することが大切です。
なお、断熱性能は工法だけによって差が出るものではなく、断熱材そのものの材質や厚みによっても変化しますし、隙間ができれば性能も落ちてしまいます。性能の高さは、外断熱・内断熱に関わらず、きちんとした施工ができるかどうかにかかっているといえます。

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